2012 Fiscal Year Annual Research Report
前近代日本における歴史的景観形成についての災害文化論的アプローチ
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21520672
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 修二 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (10419476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 正和 近大姫路大学, 教育学部, 講師 (70379329)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歴史的景観形成 / 灌漑水利 / 災害文化 / 地域秩序 / 前近代日本 / 分水 / 災害モニュメント / 兵庫県 |
Research Abstract |
本研究においては、兵庫県域を中心とする近畿エリアにおける地域史料の研究・分析を通して、地域の歴史的景観・地域秩序の形成にその地域独自の災害文化が深く関わっていることについて一定の解答を得ることを最大の目標に据えている。 本年度は、昨年度までに行ってきた調査・研究をふまえ、以下のような具体的なフィールドを設定した。まず、(1)災害文化に関する文献資料の収集を総体的に実施できるフィールドとして兵庫県丹波市を措定し、前近代に発生した災害とその対策に関する文献資料の調査を集中的に進めた。(2)加古川流域を中心に兵庫県域にpける水害などの災害記念碑の調査を進め、災害文化と歴史的景観形成の関連を調査・研究した。(3)水利分水施設の調査のエリアを兵庫県全域に求め、細密な調査・研究を行った。 また上記の調査・研究を進めるために、兵庫県丹波市内の八木芙瑳子氏、青木正文氏、飯谷幹夫氏、平岩泰典氏、金屋自治会、清住自治会、達身寺、円通寺、および三田市在住の村上武幸氏などへ協力を求めた。また本研究を進めるために研究協力者として、昨年に引き続き、森元純一氏(岡山県和気町教育委員会)、河野未央氏(近大姫路大学)、井上舞氏(神戸大学)へ協力を仰いだ。 2012年12月には共同研究者・研究協力者とともに研究会を開催した。ここでは、研究代表者の木村以下、共同研究者の松下、研究協力者の森元純一氏、河野未央氏によってそれぞれ専門とする分野に関する報告が行われ、報告の後に井上舞氏を交えて討論を行い、本研究への意見・助言をいただいた。これにより本研究関係者の間で、本研究の方向性について理解を深め、共通認識を持つことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要調査地域である丹波市域での人的つながりが構築されたことで、該地域での多方面にわたる調査活動が可能となったが、とりわけ文献史料調査や現地のフィールドワークについて、円滑な調査を行うことができた。また大河川の災害モニュメント調査については、本研究での出張としては加古川流域に集中した調査にとどまったが、揖保川流域や市川流域では、本研究による出張調査以外の機会に同様の調査が一部実現しており、その成果を準用することで、災害モニュメントの実地調査の成果の充実を図ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は次年度に研究最終年を迎える。当面やりのこした調査を継続する必要もあるが、4年という長期にわたった調査研究の取りまとめをはかることが中心となる年度となる。その一方で兵庫県丹波市域など、文献史料調査にあたって大きくご協力いただいた方々への成果の還元ということも可能な限り進めたいと考えている。とりわけ災害モニュメントの調査などは、過去に発生した歴史災害について地元に方々に再認識していただき、将来の災害発生時の対処の参考という実利的な意味合いも大きいものがある。もちろん災害モニュメントに限らず、我々の進めてきた調査の成果には大なり小なり実利的な側面を備えたものであると考えており、学界だけではなく一般社会への還元が課題となっていると認識している。
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Research Products
(16 results)