2009 Fiscal Year Annual Research Report
近現代の日本における行旅病人・行旅死亡人に関する歴史的研究
Project/Area Number |
21520674
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹永 三男 Shimane University, 法文学部, 教授 (90144683)
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Keywords | 行き倒れ / 行旅病人 / 行旅死亡人 / 現地踏査 / 官報 |
Research Abstract |
研究期間の第1年目である今年度は、4年間の研究の基盤となる関係史料の収集に全力を注いだ。その結果、史料収集をほぼ終え、経費の関係で進捗が遅れた戦後の「官報」所載の行旅死亡人公告の収集と若干の補充調査を残すのみとなった。また、本研究の特色の1つである「行き倒れ」発生地の現地踏査も、福島県内各地で行い、その具体的状況を確認した。以上の成果の詳細は、次のとおりである。 1.「行旅病人・行旅死亡人」取扱法制に関する政府資料を、国立公文書館所蔵の太政官文書及び内閣・内務省文書について網羅的に収集した。また、関係法制の展開を「法令全書」で確認した。これによって、政府の対応とその変遷を実証する史料の収集を基本的に終えた。 2.府県庁文書については、群馬県・宮城県・長野県の各県庁文書の収集を完了し、収集済みの福島県・秋田県・栃木県・埼玉県の各県庁文書を加えて、現在保存・公開されている関東・東北諸県の県庁文書中の「行旅病人・行旅死亡人」関係文書の大半を収集した。 3.さらに行旅病人救護・行旅死亡人取扱の行政的責任主体である市町村の役場文書については、善光寺の存在から「行き倒れ」が多発するとの予測の下で、長野県の松本市域・長野市域の旧町村役場文書の調査を両市の文書館について行い、各町村役場文書から関係史料を収集した。 4.「行き倒れ」発生地の現地踏査は、福島県庁文書によって場所を特定できる事案について行い、福島市域、会津若松市域、いわき市域(磐城炭鉱地帯)で発生地の状況を具体的に確認した。 収集史料の分析は現在進めているが、その成果の最初の発表は、本年5月の法制史学会総会(於・東北大学)の研究報告の場で行い、その後、これを学術論文として投稿する。従って、本研究主題に関する発表論文は平成21年度にはなく、成果の発表は平成22年度から始める。
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