2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520681
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
櫛木 謙周 京都府立大学, 文学部, 教授 (60161626)
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Keywords | 長屋王家 / 散米 / ハラエ / 宗教的技能者 / 都市王権 / 穢 / 疫神祭祀 |
Research Abstract |
本研究は、日本古代の首都社会における公共領域の特質を、行政的側面と祭祀・儀礼的側面との両面から統一的に理解することによって、当該期の国家による身分制等の社会編成に与えた影響を具体的に明らかにすることをめざしたものである。 2年目の平成22年度には、個別的実証研究としては、首都住民の共通関心に関わる祭祀習俗の問題について考察し、特にその源流を探ることに重点を置いて研究を行った。また別に、研究全体の見通しを得るために、理論的研究として、王権と公共性との関係について、先行研究を批判的に検討する作業を行った。 前者については、民間のハラエの習俗として存在した「散米」を手がかりに、これが長屋王家木簡にもみられることから、8世紀初期にハラエが国家の祭祀とは別に行われていたことを明らかにし、あわせてそれに関与した可能性のある宗教的技能者にも言及した(22年度に公表)。但し、このような習俗が当時階層的にどれだけの広がりを有していたかは、今後検討を要する。 後者については、これまで「都市王権論」で論じられてきた問題が、首都の公共領域の問題を取りこむことによって新たな展開が可能であることを論じた。具体的には、首都住民の共通利害に関わるとともに、一方で国家の危機管理にも関係する穢や疫病などに対するハラエや疫神祭祀などの問題が、都市王権としての平安期の王権の特質を考える場合に有効であることを論じた(23年度初頭に公表予定)。
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Research Products
(2 results)