2009 Fiscal Year Annual Research Report
平安・鎌倉時代の国衙機構と武士の成立に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21520685
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
森 公章 Toyo University, 文学部, 教授 (30202360)
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Keywords | 在庁官人 / 因幡国伊福部臣古志 / 相撲人と武士 / 群司と国衙 / 国務条々 |
Research Abstract |
今年度に設定した課題のうち、在庁官人表の作成に関しては、業務委託による補助を得て、平安時代の分については入力を終えた。鎌倉時代に関しては史料を収集中であり、次年度にはこの作業を継続するとともに、入力の準備を進める基盤を作りつつある。次に各国在庁官人と武士め成立との関係については、九州方面に出張して、当該地域の武士生成・発展の場を実見するとともに、九州大学図書館所蔵『因幡国伊福部臣古志』の写本調査を実施した。この写本は現在一般に見ることができる唯一のもので、『古志』の全容を知るには貴重なものである。従来その前半部分に注目が集まってきたこの史料について、その後半部分に上記の課題究明に資する材料があることが判明したかうである。特に相撲人と武士の関係を探求して、武士の成立過程について新たな知見呈するという課題に関連して、『古志』の後半部分に登場する人々が在庁官人かつ相撲人を出す家柄に関係する人物であることを解明できたのは大きな成果でおる。この点については、『東洋大学人間科学総合研究所プロジェクト・日本における地域と社会集団-公共性の構造と変容-』(2010年3月)に論文「西国国衙と武士の展開-相撲人と武士、『因幡国伊福部臣古志』の検討から-」(9~18頁)を発表することができた。これは当該分野の研究に新たな事例と視点を加えたもの言える。また国衙機構、国務運営の全体像の解明に関連して、『朝野群載』巻22「国務条々」の善本の写真版を入手し、校訂案と略解を試み、その成果は次年度にしかるべき研究誌に掲載の予定で、成稿に努めている。なお、在地豪族と国衙機構との関係について、著書を刊行する機会があり、その中で新稿として、「地方豪族と人材養成」という論考を掲載し、郡司と国衙の関係に言及することかできた。
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Research Products
(1 results)