2011 Fiscal Year Annual Research Report
平安・鎌倉時代の国衙機構と武士の成立に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21520685
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
森 公章 東洋大学, 文学部, 教授 (30202360)
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Keywords | 在庁官人 / 相撲人と武士 / 因幡国・常陸国 / 在庁官人表 / 『因幡国伊福部臣古志』 / 吏途指南自筆本 |
Research Abstract |
今年度に設定した課題のうち、在庁官人表の完成に関しては、全289頁の報告書を作成し、その中に「平安/鎌倉時代国衙関係者・在庁官人表(稿)」として掲載することができた。報告書には併せて「郡司表(稿)〔第2版〕」、「諸国相撲人一覧(稿)」を掲載し、在庁官人の全国的な通覧とともに、在庁官人の出自とも関わる郡司氏族の動向、武芸の一つであり武士的人物のあり方を考える材料となる相撲人の出自と活動内容などを知る基礎的データを斯界に呈示することができたと考える。報告書は斯界の主要な研究者に配布する予定であり、広く活用されることで、当該分野の研究深化に資することが期待される。 次に武士の成立や国衙機構の様相を検討するための個別事例としては、報告書に因幡国の事例を補訂して掲載した。このため鳥取方面での現地調査・史料閲覧、また九州大学図書館所蔵の写本調査を実施し、知見の再確認・再考に努めた。 その他、今年度は常陸国の相撲人と武士・国衙機構の関係について探究し、学会での報告を行った。その内容については平成24年4月末刊行予定の『白山史学』48号に掲載されることになっている。昨年度から着手した「吏途指南」自筆本の読解は未完であり、これは今後の研究課題としてさらに推進すべきものとせざるを得ない。今年度はまた、昨年度に実施できなかった史跡巡検を行い、『因幡国伊福部臣古志』に登場する伊福部臣氏の在庁名の所在地と国府や一宮との関係を現地に立って実見することができ、理解を深める上で大いに役立った。
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