2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520689
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
三橋 正 明星大学, 人文学部, 教授 (10222324)
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Keywords | 古記録 / 日記 / 小右記 / 御堂関白記 / 左経記 / 権記 / 立后 / 部類 |
Research Abstract |
本研究では、平安時代の代表的な漢文日記である『小右記』を『御堂関白記』などの同時代資料と比較しながら精読し、長和元年から同二年七月条までの校本・書下し文・注釈を作成した。特に同元年条については註釈書の出版に向けて詳細な再検討をしている。また、平安時代の古記録読解に欠かせないデータベースを作成し、ホームページ上に仮想研究室を開設した。ここで人名・官職・場所・年中行事の考証を関連させ、さらに内裏・大内裏・平安京の復元図を用いた儀礼復元を提示できるよう検討を重ねたが、コンピュータ技術の問題もあり、まだ一般公開できる段階には至っていない。 本年度は摂関期の古記録資料全体を視野に入れた儀式研究に力点を置き、『小右記』『権記』『御堂関白記』『左経記』などの記事に記号番号を付し、それらを『小記目録』『日本紀略』『公卿補任』などと対比できる方式を完成させ、その上で同一の儀式・事項について、異なる年次の日記記事を平行して読めるようにした。これは政務・儀式の執行に役立てるという摂関期以来の「古記録文化」の精神に則った「部類」的な読み方で、これによって、次第など儀式書との共通点と年次ごとの相違点(問題点)が明確になり、より当時の関心に即した正確な読み方ができ、書写の誤りや本文・目録の欠落部分なども検証できた。「摂関期の立后関係記事」はこの方法による成果の一部で、さらに続編の公開を計画している。
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Research Products
(4 results)