2011 Fiscal Year Annual Research Report
災害対応としての近世大規模普請の研究ー「宝暦治水」の組織・労働・技術ー
Project/Area Number |
21520693
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
秋山 晶則 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (40293691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠宮 雄二 中部大学, 人文学部, 准教授 (60293677)
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
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Keywords | 自然災害 / 地域社会 / 手伝普請 / 労働編成 / 職人 / 技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、災害と地域の関係性を問い直す一環として、18世紀以降顕著となる災害対応としての大規模普請に焦点をあて、地域社会との連関においてその全体像を描き出すことである。特に、壮大なスケールと多大な犠牲が払われたことで知られる木曽三川流域での「宝暦治水」事業(1754-55年)を中心に検討を試み、地域社会の関与を含めた、近世における災害対応の特質を明らかにするとともに、領主と村々の結節点にいた請負商人や特殊技能を持った職人集団の存在形態にも踏み込み、大規模普請を支える組織や労働編成、技術のありように迫ろうとするものである。 最終年度となる本年度は、研究代表者を中心として、治水事業の舞台となった木曽三川流域の現地調査を重点的に行い、関連史資料の収集に努めた。また、上記研究課題の前提となる、大規模普請に関わる分散したデータの統合と共有化を図るため、引き続き、1)既刊自治体史や史料集・研究書等から、宝暦治水関連情報を抽出・データベース化、2)西・東・北の高木三家文書及び笠松陣屋堤方役所文書を軸に、宝暦治水事業関連史料を抽出・翻刻、3)収集データに基づき、(1)本事業で採用された「請負」方式をめぐる論点整理、(2)普請組織や労働編成の実態解明、(3)普請技術の歴史段階的な位置づけについて、それぞれ検討を行った。 如上の成果として、従来知られていた「宝暦治水」像には一定の修正を加えることができたが、地域社会との連関においてその全体像を描き出すという点では大きな課題を残したままであり、データベースの整備・公開の課題とあわせ、さらに取り組みを進めていく必要がある。
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