2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の都市地域社会と市政-大阪・京都・神戸の比較研究-
Project/Area Number |
21520701
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
松下 孝昭 Kobe Women's University, 文学部, 教授 (10278806)
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Keywords | 大阪市 / 京都市 / 神戸市 / 学区 / 方面委員 / 社会事業 / 地域社会 / 区会議員 |
Research Abstract |
近代日本の都市政治と地域社会の関係を解明するという課題に向けて、本年度は特に1920年代後半から1930年代における京都市に関する資料収集に重点を置いた。具体的には、京都府立図書館等で『京都日出新聞』『京都日日新聞』『大阪朝日新聞京都版』等のマイクロフィルムを閲覧し、関連記事を複写したほか、京都府立総合資料館で京都府庁文書の閲覧と複写をおこなった。東京においては、国立国会図書館で関係する図書を閲覧したほか、法政大学大原社会問題研究所では主として京都におはる無産勢力の動向を知りうる原文書を検索し、必要箇所の収集に努めた。その結果、学区を単位に区会議員や方面委員に就く地域有力者と、それに対抗する無産勢力との角逐という構図が浮さ彫りになってきた。これが政治構造の基底をなすと考える。京都に関する資料調査はこれでほぼ終了したので、以上の収集資料を踏まえた論文をまとめていきたい。それと並行して、比較対象に予定している神戸市の市政動向に関する資料収集も開始した。具体的には兵庫県立図書館で『神戸又新日報』『神戸新聞』等のマイクロフィルムを閲覧し、関連記事のコピーを開始した。本年度は明治期の分が中心であるが、今後は1930年代のものまで作業を進めていく予定である。また、本研究の視角を補強するため、大阪・京都・神戸3市以外の地方都市にも関心を拡げることを試み、他の自治体史も閲覧して、学区制度や方面委員制度に関する記述をコピーした。これらを参照系として、今後の大阪・京都・神戸3市の研究に活用していきたい。なお、科研費獲得以前に脱稿してあった原稿ではあるが、自らの都市史研究の視角を、佐賀朝『近代大阪の都市社会構造』に対する書評の形で示し、『歴史科学』197号(平成21年5月)に掲載されたことを付記しておく。
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