2011 Fiscal Year Annual Research Report
1949年革命前夜の中国における社会秩序の様相とその変容
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21520709
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 教授 (10196149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永羽 信男 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (50229712)
金子 肇 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70194917)
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Keywords | 東洋史 / 中国革命 / 国共内戦 / 社会秩序 / 社会変容 / 四川省 / 上海周辺 / 都市と農村 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後内戦期(1945~1949年)における政治や経済の変化ではなく、それらを根底において規定する社会の変容を具体的に描き、中国の体制変動(革命)や社会主義化という政治的激動を準備した社会の側の諸条件を明らかにすることである。本年度の最大の成果は、本研究の成果をひろく発信するために、研究代表者が、一般の知的読者層を対象とした学術啓蒙書を刊行したことである(「13、研究成果」欄、参照)。これは、交付申請書にも記載した「研究の目的」の一つであった。そこでは過去3年間の本研究の成果をふまえつつ、四川省の都市と農村を主な対象として、上記の研究課題をほぼ大筋において実現している。この著書は一定の反響を呼び、東京・関西・広島の各種研究会で合評会が予定されている。また、本研究のもう一つの研究対象地域である上海周辺については、その社会変容を追跡するために、前年度に引き続き、研究分担者とともにそれぞれの役割分担に沿って、上海市とう案館(歴史文書館)において未刊行の一次史料の調査・収集を行なった。まだ十分な研究成果には結実していないが、関連資料はほぼ順調に蓄積されてきている。これらの収集史料の解読が終われば、上記の著書の内容を補完・拡充することになり、本研究全体の目的は基本的に達成されることになろう。なお、研究分担者は、本研究に関連する研究論文の公表や学会発表を行なっている(「13.研究成果」欄、参照)。これらの内容の一部は、本研究の最終報告書にも生かされることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、当初の重要な目的の一つである、一般知的読者層を対象とした学術啓蒙書を刊行し、一定の反響を得たからである。そこでは本研究の主要な課題が、四川省に限定されているとはいえ、ほぼ大筋において果たされている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のもう一つの対象地域である上海周辺の社会変容に関する分析を重点的に進める。これまで上海市とう案館(歴史文書館)で収集した関連資料の分析を進めるとともに、その補足のために、今年度も上海市とう案館を訪問し、残された関連資料を調査・収集する。これによって、上記著書で提示した研究成果と併せて、最終的な取りまとめを推進する。
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Research Products
(4 results)