2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520713
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 久美子 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80252203)
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Keywords | シプソンパンナー / 西双版納 / 写本 / タイ族 / 東南アジア史 |
Research Abstract |
本研究は、現在の中国雲南省西双版納〓族自治州に1950年まで存在したシプソンパンナーというタイ族の政治統合の性格を、これまでほとんど用いられてこなかったタイ語写本を史料として再検討することを目的としたものである。平成22年度は、タイ語写本中の「王の直轄国ムンツェンフンとシプソンパンナー内のその他の小国(ムン)との関係」を示す部分を選び、研究協力者にタイ国文字に翻字してもらい、かつ日本語への翻訳を試みた。それは以下のような内容のものであった。 ・ 各ムンが、年中行事の際の王の行列に、何を用意し、何を持って、どの順番で並ぶか、どのような役割を果たすか。 ・ 毎年、王に対して、どのパンナー(1つあるいは複数の小国のつくるまとまり)が何を寄進するか。 ・ 王の即位儀礼において、どのパンナーが何を用意するか、どのような役割を果たすか、祝福の水かけをどのような順番でおこなうか。 ・ 王が各国の支配者にどのような称号・欽賜名を与えるか。 翻字・翻訳した中で、正確な意味がわからない部分については、西双版納〓族自治州に行き、現地在住のタイ族研究者・タイ族知識人に専門的知識の提供を求めた。 その後、翻訳した写本の内容を主たる資料として用いて分析をおこなった結果、ムンツェンフンが上位に位置づけているムンは、18世紀前半に清朝から官職を与えられている、15世紀前半までに年代記に名があらわれている、ムンツェンフンに従属的である、のうちの一つ以上の特徴を持っていることなどが明らかになった。その内容を論文にまとめ、日本タイ学会の学会誌に投稿した。
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