2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)
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Keywords | 東洋史 / 中国少数民族 / 歴史記述 |
Research Abstract |
本研究の初年度である21年度は,分析対象とする史料の選定およびその電子テキスト化に注力した。まず4-7月には明代雲南地方志の残存状況・所蔵および影印本の出版状況などについて国内で調査を行った。同時に,本研究とはやや方向性が異なるものの,明代雲南地方志を使用した研究である『大理日本四僧塔』の原稿の翻訳をおこない,原著者との連絡を経て,地方志を使用した部分について筆者(林)の見解にもとづいた修正を行った。8月末~9月上旬には中国雲南省に出張し,日本で入手の困難な史料を入手するとともに,上記著作の著者と会見して討議を行った。また,補助資料として使用する大理白族の家譜史料について,現地で出版された史料集の編纂に携わった研究者と交流を行うことができた。さらに雲南大学において明代雲南史料に関する研究報告を行い,同大学に所属する雲南民族誌・雲南地方志の専門家と意見を交換する機会を得た。9月下旬以降は対象資料の電子テキスト化に着手した。対象史料として明代の雲南省志4種を選定し,このうち『景泰雲南図経志書』については2010年2月に,『正徳雲南志』は繰越期間にあたる2010年5月に基本的な電子テキスト化が終了した。基本的なテキスト化の作業は外部の業者に委託しているが,所要時間及び経費の関係で,今年度(繰越期間を含む)中に残る2件の電子化は断念せざるをえなかった。これら明代雲南地方志は近年影印本・活字本の出版が中国において開始しており,個別の史料としては我が国の研究者も利用しつつあるが,出版の形式が均一でなく,4種の年代の異なる地方志の比較検討を行うことは困難であった。本研究で(未だ途上であるとはいえ)これらの史料を極力同じ条件で電子化し,細部にわたる比較を行う土台ができることは,明代雲南に関する歴史研究の史料状況を大きく変えるものということができる。
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Research Products
(1 results)