2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (20294358)
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Keywords | 東洋史 / 中国少数民族 / 歴史記述 |
Research Abstract |
今年度はまず,前年度に電子テキスト化の対象として選定した史料のうち『万暦云南通志』の電子化に着手し,7月までに外部の業者による作業が完了した。残るは『天啓演志』であるが,これは分量から言って今年度の経費で実行することが困難であり,また7月段階で電子化に使用する版本の選定が困難であったため断念せざるを得なかった。8-9月には雲南地方史に関する最大の史料集成である『雲南史料叢刊』の本研究への利用可能性を検討し,あわせて同叢刊の書名・著者名索引を作成してWEB上に公開した。この叢書は雲南地方に関する膨大な史料を収録しているものの,検索に難があり利用価値を損なっていたが,この索引の公開によってさらなる活用が期待される。 『天啓演志』版本の問題を解決するため,また中国国内における所蔵状況などを確認するために,10月に北京に出張し,中国国家図書館,中央民族大学図書館などにおいて明代雲南地方志に関する調査を行った。その結果『天啓瀕志』については現在活字化・出版されているもの(雲南教育出版社,1991年)とは別系統の手写本が中央民族大学図書館に所蔵されており,閲覧可能(複写不可)であることが判明した。また同手写本の複製が90年代に作成されていることもわかった(正式出版ではなく日本には未招来)。その入手についてはなお折衝の必要がある。北京滞在中に中央民族大学歴史文化学院において明代雲南地方史研究に関する研究発表を行い,同学院院長の蒼銘教授を始めとする現地の研究者と学術交流をおこなうことができた。 これまでに電子化の完了した3種の明代地方史については,WEB上での公開に向けて字句の校訂作業を開始しているが,今年度内には公開するに至らなかった。また,電子化の対象とした4種の地方志を含む,明清雲南地方志の改題を作成,発表予定であったが,投稿予定の雑誌(名古屋大学文学部研究論集)の刊行スケジュールの関係から未発表である。
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