2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520716
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 進 Nagoya University, 文学研究科, 教授 (40168448)
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Keywords | 明版 / 出版史 / 目録学 / 書誌学 |
Research Abstract |
本研究の根幹をなす明版書の調査については、明代前半期刊本を中心に130部あまりの閲覧と書誌収集をはたし、当初の予定をかなり上回る成果を挙げた。特に台湾における調査は、閲覧条件や時間の制約が日本よりもかなり厳しい中、実質4.5日の調査二回で39点の調査をはたしえた。当初の予定である40点にはわずかに及ばなかったものの、現地の状況からすればこれ以上は望みえない、最大限の成果であった。これにより蓄積された明版書誌の累計は、2500部を優に超える数に達しており、少なくとも明代前半期の出版については、「全体像への接近」が修辞以上の、現実的なものとなりつつある。 調査の方が比較的順調に進行したのに対し、資料の整理と知見目録化は困難が大きく、今年度に入力しえたのは100部足らずと、新たに収集した書誌数を下回った。ただし入力をすませたのはほとんどすべて明代前半期刊本の書誌であり、この部分の整理についてはほぼ計画どおりに進行している。 収集された資料を利用しての研究活動では、ソウル大学奎章閣で開催されたシンポジウムで、明代の活版に関する講演を行ない、その内容を該シンポの報告書中に掲載し、更にこれを改訂増補して日本の学会誌に発表した。なおこの改定版については、奎章閣より改めて彼の機関誌に掲載するよう要請があったのだが、すでに日本での発表を約束した後であったため、断らざるを得なかった。また本年度には、北京大学歴史系からの要請により、2008年の北京論壇で行なった講演内容を改訂増補し、その機関誌にこれを掲載した。ともに明代初、中期の出版と学術の関係につき論じたもので、これにより韓国、中国の学者に対しても、本研究の内容をある程度伝えられたものと考える。このほか、当初に予定されていた著書の公刊は、作業の困難から次年度の課題とせざるを得なくなった。
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Research Products
(4 results)