2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520718
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
青木 敦 青山学院大学, 文学部, 教授 (90272492)
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Keywords | 経済中心地論 / 唐宋変革 / 北宋 / 南宋 / 法制史 / 経済史 / 中国経済 / 歴史地理 |
Research Abstract |
本研究は、唐宋変革論を、地域史および歴史地理学の視点から再考察することを目的としていた。そして対象時期を(ア)唐前半期以前(7世紀以前)、(イ)唐末五代(8~10世紀)、(ウ)宋元代(10~14世紀半)、(エ)明清代(14世紀~20世紀半)の4時期にわけ、民間の経済活動がもっとも発達した、すなわち王朝の「経済中心地」と諸制度の関係を解明することとした。この経済中心地とは、また同時に、紛争処理の面で王朝がもっとも重要視した地域にほぼ重なっていた。ことに本年度においては、21年度より着手した(ウ)時期の根本資料明版『清明集』を中心とした「判語データベース」(計画A)の作成が完了に近づいた。この成果は、判語の名公、巻に沿って各判語を分類し、また可能な限り、書かれた地域を特定して、データベースとした(ローカルに保存)。 さらに本年度は、法制史の側面から上記(ア)~(ウ)の時期すなわち唐宋変革の中心的な部分において、本計画が達成しようとした制度と地域の関連に実証的研究が完成し、「南宋判語所引法の世界」『東洋史研究』70-3(2011年12月)として刊行した。その中では、南宋判語に見える法律条文の一覧を、はじめて完成に近い形で発表した。 また、本計画は海外において広く理解を得るに至っており、この研究成果にもとづく講演会(招待)および国際会議でのパネル形式での発表を、中国語と英語により、合計5回にわたって行った。ことに、11月に中央研究院で行った発表は、台湾・アメリカ・中国の参加者から興味を寄せられ、非常に活発な討論が行われた。これとともに、中国の研究者が刑法的であり、律に近い考え方をするのに対し、日本・台湾の研究者が、宋代の法律に民法的側面が強くのこることを指摘、各国の研究者の間での勅・令に対する考え方の違いが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)唐宋変革論の主たる根拠となっている制度・文化的側面に関し、法制という面からアプローチすることができ、ことに宋代判語法の民事的諸法規についての整理が当初の計画より早期に完成した点。(2)本研究の発信・学会との交流という面において、6回の海外講演等を行うなど、成果の受け入れが当初の計画よりもはるかに多数・多面的であり、進展した点。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の「研究の目的」を着実に達成して行く。
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