2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520718
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
青木 敦 青山学院大学, 文学部, 教授 (90272492)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 法制史 / 宋代 / 唐宋変革論 |
Research Abstract |
本研究の研究目的は、唐宋変革論を、王朝の経済中心の地理的遷移と、王朝がその法制的制度によって解決しようとした対象の社会の変化から再理解することにあった。具体的には慶暦~王安石新法期の諸法が、江南のどの地域の問題を題材として議論されているのか、南宋道学者(朱子学者、黄震など)がどのような地域問題像を描いていたかを明らかにしつつ、宋の社会経済と法の関係を、唐以前および元・明清との比較において解明することを、目的としていた。 本研究計画期間中、資料調査等を行った成果として、「第1章 宋代抵当法の推移――景徳『農田敕』から南宋判語に至る非占有質関連規定をめぐって」 」古田和子編『中国の市場秩序―17世紀から20世紀前半を中心に』慶應義塾大学出版会、(2013年2月)、「「伊藤正彦『宋元郷村社会史論』」『史学雑誌』121-3, 2012, pp. 106-115 を執筆した。また、2012年6 月22 日に第四屆國際漢學會議において「江西有珥筆之民―試論中國近世裁判習慣的誕生」(中国語)、8月10日に戸隠の會において「「江南」宗族と女子分法問題 」(日本語)を、8月22日、中国宋史研究会第十五届年会において「考課、監司與監察」(中国語)を、研究成果として、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の本年度の研究計画に照らし、順調に研究が進展したが、さらに、中国および台湾の2か国から研究発表の要請を受け、これを行った結果、海外との研究交流が進展し、宋初の研究計画以上に進展した。ことに、宋代法制の元明との比較において、中央研究院歴史語源研究所柳立言教授から、女性の地位に関する法制史上の変化について指摘を受け、これを日本に持ち帰り、東洋文庫が加入している漢籍データベースを用いて新たな課題として研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究成果を元に、最終年度における総括的研究を行う予定である。具体的推進方策として、『歴史評論』誌に、本研究計画の唐宋変革論再検討を基礎としつつ、近世論についての論文を発表し、8月24日から箱根で開催される宋代史研究会で、大阪市立大学・平田茂樹教授、早稲田大学・飯山保氏とともに研究発表を行い、宋代史の最新の研究動向を、参加研究者と討論を通じてフィードバックさせる。さらに東洋文庫のサーバ室・村瀬氏との連絡を本年度はさらに密にしつつ、中央研究院データベース、申報データベース、CNKIを随時活用し、研究総とりまとめ作成に役立てる。 研究計画への変更の必要性は特に認められず、また遂行に影響する問題点は現段階では考えられない。
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