2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520718
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
青木 敦 青山学院大学, 文学部, 教授 (90272492)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 北宋 / 南宋 / 法制史 / 律令 / 唐宋変革 / 江南 / 長江 / 華北 |
Research Abstract |
本研究において、前近代中国王朝の経済中心の地理的遷移と、王朝がその法制的制度によって解決しようとしたところの社会経済の変化を理解すべく、諸課題の解明を進めた。その結果、以下の知見を得た。まず均田制の意義が、戦乱後の人口稀少土地豊富の華北の実情から、北魏による人民動員制度として成立したところにある点(朴漢濟ら)が再確認でき、さらに均田制・課役制がその柱となる隋唐の律令制が、華北的統治様式の連続性の中にあることを指摘した。そこからいわゆる「律令体制」が、国家の人民動員のための法制体系という要素を強く持っていた点が明らかになった。ところが長江流域が、唐末五代~宋に本格的な土地売買の活発時期、および東晋以来開発が進んだ東南の本格的な成長期を迎えると、国法と経済的取引実態との乖離が見られた。それが、宋朝の律を中心としつつも、詳細な勅令格式の法形式と、中央・地方に渉る、例外的に豊富かつ雑多な特別法の世界の形成の契機となった点も明らかになった。さらに、モンゴル期を経て明の洪武以降となると、国法の、民間の紛争解決への積極性が急激に後退してゆくことが、改めて確認された。 学説史的に見れば、華北政権による、このような南中国の本格的領有は、視点としては、桑原隲蔵をはじめ、その後のCh'ao-Ting Chi、張家駒、梁庚堯、王充恒らによってフォローされてきたが、それらはいずれも、具体的制度の変遷として実証的に細かく論じられてはこなかった。本研究では、法典および民事的法律条文の内容、およびこれらと長江中流域のフロンティアを舞台とした経済と国法との関係の再検討を通じて、これら従来の経済中心地の変遷論が、概念的な時代論としてのみならず、法制史を中心とした制度史においても、実証的に確認できることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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