2009 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン領フィリピン社会における変動期の諸相―「マニラ公正証書原簿」の研究―
Project/Area Number |
21520721
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅谷 成子 Ehime University, 法文学部, 教授 (90202126)
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Keywords | 東南アジア史 / フィリピン / マニラ / スペイン植民地 |
Research Abstract |
本研究計画は5年計画であり、本年度はその初年度であった。まず、先行研究および、これまでに入手している資・史料の整理・分析を行った。これらの作業の成果の一部として、「フィリピン国立文書館蔵『マニラ公正証書原簿』について」と題して「2009年中国四国歴史学地理学協会大会」において報告を行った(2009年7月5日、愛媛大学)。本報告では、現存の「マニラ公正証書原簿」の成立の経緯を説明し、スペイン領フィリピンの変動期の諸相の解明にあたっての史料的価値を明らかにするとともに、他の東南アジア諸国における史料事情について質疑応答を通じて専門家と意見交換を行うことができた。 本年度の現地調査としては、校務の関係もあって当初の計画より短期間かつ年度末での実施となったが、2010年3月13日から3月21日までの9日間の日程で、フィリピン国立文書館において「マニラ公正証書原簿」の調査を行った。18世紀末葉の公証人による「原簿」の一部について、保存状態に応じて筆写、電子複写およびデジタルカメによる撮影によって収集したので、これらの整理・分析作業を継続的に進める予定である。 これらの作業によって得られた知見を踏まえて、先行研究および関連のスペイン文書の分析を合わせた検討を行い、その研究成果の一部として「スペイン領フィリピンにおける他者認識-中国人統治をめぐって-」を著して、フィリピン総督府とマニラの中国人移民との関係を中心に、フィリピン社会の変動期の諸相の一端を示した。
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Research Products
(2 results)