2011 Fiscal Year Annual Research Report
宋-明期の江南における小経営発展と里甲制体制下の階層構成に関する研究
Project/Area Number |
21520723
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正彦 熊本大学, 文学部, 准教授 (50253711)
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Keywords | 東洋史 / 経済史 / 小経営 / 里甲制 / 階層構成 / 安徽省博物館 / 賦役黄冊 / 現地見学 |
Research Abstract |
前年度までの安徽省博物館所蔵賦役黄冊関係文書の閲覧・整理・分析,農業景観の現地見学をふまえて,研究代表者(伊藤)・連携研究者(鹿児島大学法文学部准教授の大田由紀夫,愛知大学文学部准教授の長井千秋)の具体的な研究課題の分析を進め,9月に研究会で報告し,研究協力者(名古屋大学名誉教授の森正夫,中国社会科学院歴史研究所研究員の欒成顕)や国内の中国社会経済史の専門家からアドバイス・ご意見をいただいた。これに基づき研究代表者・連携研究者の認識を精錬して論文を執筆し,研究成果報告書(伊藤正彦)「『万暦休寧県27都5図黄冊底籍』の世界」を作成した。 研究代表者・連携研究者が執筆した論文は次のとおり。 伊藤正彦「『万暦二七都五図黄冊底籍』をめぐる初歩的知見」(第一論文) 「明代里甲制体制下の階層構成-徽州府休寧県里仁東郷二七都五図の事例-」(第二論文) 長井千秋「南宋時代の小農民経営再考」 大田由紀夫「徽州における私家文書の伝来-『率東程氏置産簿』をめぐって-」 伊藤の第二論文と長井論文を併せ読むことによって南宋-明末期の江南山間小盆地における小経営農業の発展をとらえることができ,伊藤第二論文と大田論文を併せ読むことによって徽州府休寧県内における糧長層も含めた里甲制体制下の具体的な階層構成を認識することができる。また伊藤第一論文は,安徽省博物館所蔵『万暦二七都五図黄冊底籍』の基礎データを掲載して記載内容の共有化を図るとともに,大田論文と併せて徽州における私家文書の作成・伝来要因を考える具体的素材を提供している。 研究成果報告書にとりまとめた4論文によって本研究全体の目的は達成できたものと考える。
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Research Products
(6 results)