2009 Fiscal Year Annual Research Report
桑原隲蔵『中等東洋史』の中国語訳本に関する調査とテキストの比較研究
Project/Area Number |
21520724
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
黄 東蘭 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 教授 (00315871)
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Keywords | 桑原隲蔵 / 『中等東洋史』 / 漢訳諸版本 / テキスト比較 |
Research Abstract |
1.資料の収集について 初年度の平成21年度において、東書文庫、国立国会図書館、京都大学図書館桑原隲蔵『中等東洋史』の日本語諸版本について調査を行った。現時点では、『中等東洋史』2種類(1898年初版と1968年全集収録版)とその改版本6種類、改訂本3種類、教授資料1種類を入手した。また、明治期に日本で出版された支那史・東洋史教科書をも可能な限り収集した(支那史教科書17種類、東洋史教科書33種類)。 東京都立中央図書館実藤文庫、北京図書館、南京図書館、上海図書館などで桑原隣蔵『中等東洋史』の漢訳本について調査した。これまでに知られていない版本を含む6種の異なる訳本を入手した。ただし、図書館の閲覧条件の制約によりコピーが入手されていないものと所蔵が判明されていないものもある。今年度中に引き続き調査を行う予定である。なお、那珂通世『支那通史』をはじめとする清末中国で刊行・翻訳された日本の支那史・東洋史教科書、および同じ時期に出版された中国人編纂の中国史教科書についても調査した。 2,資料の分析と研究成果 (1)桑原隣蔵『中等東洋史』の日本語諸版本の分析を通じて、桑原東洋史教科書の内容が時代と共に変化するプロセスを明らかにした。その成果として、「東洋史の時空-桑原隲蔵『中等東洋史』に関する-考察」(『愛知県立大学外国語学部紀要』(地域研究・国際学編)第42号、2010年3月(pp. 143-165))と題した学術論文が公表されている。 (2)桑原隣蔵『中等東洋史』を明治中期支那史・東洋史教科書の系譜のなかで考察し、同時代日本の東洋史教科書における『中等東洋史』の位置づけを明らかにする。その成果はすでに論文にまとめ、今年度中に公表される予定である。 (3)桑原隲蔵『中等東洋史』の原著と漢訳本のテキストの比較を通じて両者の異同を分析する(現在その作業を行っている)。
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