2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520727
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
山口 昭彦 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (50302831)
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Keywords | イスラーム / タルド / イラン |
Research Abstract |
本研究は、イランの一地方名望家が残した私家文書群の分析を通じて、近代以降、とくに19世紀後半から20世紀半ばにかけて、イランの農村社会がどのように変容したかを実証的に明らかにしようとする試みである。具体的な対象地域としては、イラン西部のコルデスターン(クルディスターン)州の州都サナンダジュにあったヴァズィーリー家の文書を主たる対象として取り上げる。 平成21年度以来、同家に関する史料数百点を収集し、その解読を進めてきたが、23年度は、アルダラーン地方に関わる地方史史料を使って19世紀におけるヴァズィーリー家台頭の背景となる政治史の整理と理解に努めた。とくに、同地方の総督職を重代務めてきたアルダラーン家がカージャール朝(1796-1925)政権下で次第にその権威を低下させてついには総督職を失い、かわって総督を補佐する名家の筆頭であるヴァズィーリー家が実施的に行政を担うようになる過程を明らかにした。(平成24年度中に論文として発表予定) 平成23年11月にイランのサナンダジュ(コルデスターン州の州都)で開かれたアルダラーン学会において、サファヴィー朝後期(16世紀末-18世紀初頭)におけるクルド地域の都市化とサファヴィー朝への政治的経済的統合に関して口頭発表を行った。 平成24年2月には、一週間ほどイランに滞在し、サナンダジュにある「コルデスターン文書館」で引き続き文書資料の収集にあたった。このほか、テヘランでは当該テーマにかかわる図書の収集にも努めた。また、同様のテーマについて研究を進めるイラン人研究者との意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料の収集については、ほぼ当初の予定通り進んでいるが、その解読については時間を要しており、そのために研究成果の発表がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
サナンダジュでの文書資料収集を継続しつつ、関係文書群の解読と整理を進め、まずはヴァズィーリー家による不動産集積の戦略を明らかにすることをめざす。
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Research Products
(3 results)