2010 Fiscal Year Annual Research Report
産業革命期イギリスの貧困と福祉に関する社会史的研究
Project/Area Number |
21520731
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 貴彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70291226)
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Keywords | 物語(ナラティヴ) / 福祉 / メークシフト・エコノミー |
Research Abstract |
平成22年は、基本的には、福祉と貧困に関する研究の基礎的文献を読了、内容を把握して研究の概要をつかむことに主眼をおいた。その成果は、「メークシフト・エコノミー論の射程」(未投稿)、「近世化のなかのコモンウェルス」『近代ヨーロッパの探求福祉』(ミネルヴァ書房、2012年刊行予定)、「物語の復権/主体の復権ポスト言語論的転回の歴史学」『思想』1036号(2010年8月)などの論文にまとめられた。その後、「貧民の語り」を通じて貧困の範疇分類化と、そのレトリックの分析に取り組んだ。第一に、貧困の原因の発見である。貧困の原因を不況による失業、不作・凶作など社会経済的要因のみによるものではなく、高齢期、病気、寡婦や孤児になった場合など、個人のライフサイクルのなかでも貧困に陥りやすいリスキーな時期があることを重視して分類した。第二に、そうした貧困に対応する生存維持の手段の発見である。救貧やヴォランタリズムに加えて、家族・親族ネットワーク、近隣関係、質入れ、売春、犯罪など、多様な貧民の生存戦略を明らかにしようとした。第三に、「貧民の語り」をめぐるレトリックの分析を言語論的に分析、語りのパターンを発見して、言語論的位相と社会経済的次元の接合を試みた。また、6月には社会経済史学会全国大会のシンポジウムにて「ヨーロッパ福祉国家研究史のへの視座」と題する報告を行った。関連する文献、ピーター・バーク『文化史とは何か』(法政大学出版局)、ギャレス・ステッドマン・ジョーンズ『階級という言語』(刀水書房)を翻訳・刊行した。
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Research Products
(5 results)