2012 Fiscal Year Annual Research Report
産業革命期イギリスの貧困と福祉に関する社会史的研究
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21520731
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷川 貴彦 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70291226)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 福祉 / 貧困 / アソシエーション / メイクシフト / 産業革命 |
Research Abstract |
平成24年は、昨年度に引き続き、「貧民の語り」を通じて貧困の範疇分類化とそのレトリックの分析に取り組んだ。その内容は、以下の通りである。第一に、貧困の原因を発見しようと試みた。貧困の原因を不況による失業、不作・凶作など社会経済的要因のみに求めるものではなく、高齢期、病気、寡婦や孤児になった場合など、個人のライフサイクルのなかでも貧困に陥りやすいリスキーな時期があることを重視して分類した。第二に、そうした貧困に対応する生存維持の手段の発見しようと試みた。救貧やヴォランタリズムに加えて、家族・親族ネットワーク、近隣関係、質入れ、売春、犯罪など、多様な貧民の生存戦略を明らかにしようとした。第三に、「貧民の語り」をめぐるレトリックの分析を言語論的に分析、そこに語りのパターンを発見して、言語論的位相と社会経済的次元の接合を試みた。 その成果としては、5月には日本西洋史学会小シンポジウム「語りのかたち」(明治大学)で本研究で検討した方法論について「問題提起」として報告を行なった。6月にはシンポジウム「二宮宏之と歴史学」(東京外国語大学)および「社会運動史の時代」(東洋大学)で本研究で検討した「主体」概念に関する報告を行なった。12 月には歴史学研究会創立80周年を記念するシンポジウム「歴史学のアクチュアリティ」で報告を行なった。また9月には『近代ヨーロッパの探究15 福祉』(ミネルヴァ書房)に「近世化のなかのコモンウェルス イギリス福祉国家の歴史的源流を求めて」を執筆、貧困と福祉の観点から近世・近代転換期イギリス史を概説した。12月には『産業革命』(山川出版社)を刊行、本研究の視座を踏まえた産業革命史の概説を試みた。こうした研究成果は、単著としてまとめられ平成25年度には刊行される予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料調査が十分にできなかったことは悔やまれるが、成果は着々とあがっており、著作の準備も最終盤の段階に進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、「貧民の語り」を通じて貧困の範疇分類化とそのレトリックの分析に取り組む。その内容は、第一に、貧困の原因の発見である。第二に、そうした貧困に対応する生存維持の手段の発見である。第三に、「貧民の語り」をめぐるレトリックの分析を言語論的に分析、語りのパターンを発見して、言語論的位相と社会経済的次元の接合を試みる。
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Research Products
(5 results)