2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520732
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池谷 文夫 茨城大学, 教育学部, 教授 (00114009)
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Keywords | アルプレヒト2世 / コンラート・フォン・ヴァインスベルク / カスパール・シュリック / 帝国統治改革 / 教会改革 / エネア・シルヴィオ・デ・ピッコローミニ / ニコラウス・クザーヌス / バーゼル公会議 |
Research Abstract |
平成22年度の研究は,ルクセンブルク朝末期からハプスブルク朝初期の時代(1430年代末)の政治情勢研究を中心に行った。バーゼル公会議の時代,選帝侯会議,皇帝ジギスムントの末年,新国王アルブレヒト2世(在位1438-1439年)の選出と帝国改革への助走,そして皇帝による帝国統治の実体的復興への努力,という短期間のタイムスパンの中での一連の政治過程を,参考文献・史料の確定を行いつつ,見通しを立てることができた。 特にこの時代を代表する帝国小諸侯であるコンラート・フォン・ヴァインスベルクが帝国財務官として活動しつつ,自らも領国建設を図った努力を検証し,彼と都市門閥出身の帝国書記局長カスパール・シュリックが,アルブレヒト2世の志向した帝国行財政改革に果たした役割と所属身分層による政策基盤の違いを検証した。 前年の研究実績であるアルブレヒト2世の選挙を巡る情勢の推移については,更なる検証を行うことができた。(現在は原稿の段階)。その他に既執筆の著書原稿『神聖ローマ帝国』については更に部分改訂を行い,刊行の最終準備を行った。 また,中世末期(14世紀末から15世紀末)のドイツ帝国化した神聖ローマ帝国とドイツ王=皇帝権の理念と現実の相克を究明することとなる次年度への準備として,バーゼル公会議時代の教会側論客であったニコラウス・クザーヌースの教会と帝国の改革への提言及びその根底ある彼の政治思想・法的権力論へのアプローチに着手し,彼の『カトリック調和論』における権力論の読解を始めた。
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