2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520747
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前野 弘志 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 助教 (90253038)
|
Keywords | 古代ギリシア / 碑文 / 史料集 |
Research Abstract |
本研究計画は、データ編の作成と史料編の作成の、二つの部分から構成されているが、本年度は、予定通り、データ編の作成に重点を置いた。具体的には、アルコンリストの作成、アッティカ地図の作成、デーモス一覧の作成を行った。しかし、ペースは思ったよりも遅めなので、来年度以降も引き続き、データ編の作業が必要である。また、史料編の作成については、テミストクレスの決議碑文、プラタイアの宣誓碑文など、若干の碑文史料の作成を行ったが、やはりペースは遅めであり、ペースアップが望まれる。 また、本研究の基本的な視角は、碑文を文字史料としてのみではなく、モノ資料としてもみるために、碑文、碑文が建てられた場所、および碑文に言及のある場所を実見するため、本年度は、ペロポネソス半島北部とフォキス地方南部を中心に、イスタンブールを含めて、現地調査を行った。その成果は、史料編を作成する際に、大いに役立つだろう。 また、これまでの研究成果の一部を、「碑文の解説者-古代ギリシアにおける観光ガイドと神官-」と題して、中国四国歴史学地理学協会2009年度大会(愛媛大学、平成21年7月5日)において、報告した。この報告は、碑文が必ずしも、テキストとして人々に「読まれた」のではなく、モノとして「見られ」、過去を語るモノとして、古代の観光ガイドによって「語られた」側面に着目したものである。その結果、古代の観光ガイド(神官も含まれる)が、碑文の語り手として、碑文と碑文の「読者」の間に介在して、人々に一定の歴史観を提供した、ということが明らかになった。このことは、碑文の持つ文化的側面の重要な一側面である。
|
Research Products
(1 results)