2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520747
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前野 弘志 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (90253038)
|
Keywords | 古代ギリシア / 碑文 / 史料集 |
Research Abstract |
本研究計画は、データ編の作成と史料編の作成の二つの部分から構成されているが、本年度は、昨年度の継続としてデータ編の作成を行いながら、史料編の作成を行った。具体的には、前405年のサモス人顕彰碑文をはじめ42点ほどを検討した。しかし、ペースは思ったより遅めなので、来年度以降も引き続き、データ編および史料編を並行してまとめていく必要がある。 また、本研究の基本的な視点は、碑文を文字史料としてのみではなく、モノ資料としても見るために、碑文、碑文が建てられた場所、および碑文に言及のある場所を実見するため、本年度は、ミコノス島、デロス島、サントリーニ島、クレタ島、ロドス島、コス島など、主に島々の現地調査を行った。その成果は、史料編を製作する際に、大いに役に立つだろう。 また、これまでの研究成果の一部を、「アッティカの決議碑文を読み直す-国家の歴史から個人の歴史へ-」中国四国歴史学地理学協会2010年度大会(福山大学、平成22年6月27日)および、「ある碑文の歴史-いわゆる蛇柱碑文の場合-」広島史学研究会2010年度大会(広島大学、平成22年10月30日)において報告した。前者では、従来、公的碑文として捉えられてきた決議碑文を、私的な記念碑として捉え直し、そこに国家の歴史ではなく、個人の歴史を読み取ろうとしたものであり、後者は、蛇柱が建立されたペルシア戦争終結期からオスマン時代までの、その碑文にまつわる様々なエピソードを収集し、碑文を題材とした歴史の創造を跡づけようとしたものである。
|
Research Products
(2 results)