2009 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ移民労働史の再検討-トランスナショナル・アイデンティティ・アプローチ
Project/Area Number |
21520749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 昭人 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 教授 (00124850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 ひかる 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00272774)
山本 明代 名古屋市立大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (70363950)
大津留 厚 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 教授 (10176943)
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Keywords | 移民労働史 / アメリカ史 / トランスナショナル |
Research Abstract |
初年度の打合せおよび各自の個別発表の会合を2回、九州大学と神戸大学でもち、本共同研究に向けて以下のように、各自の研究課題を模索し、おおよその分担を定めることができた。すなわち、 山内昭人は、コミンテルン文書アメリカ共産党ファイルを調査し、その中にロシア人移民労働者の実態に迫る文書類を見つけがたいことを確認した。そこで、ロシア系アメリカ移民史研究の概括的把握を経て、露語新聞『ノーヴイ・ミール』の紙面分析に着手し、在米ロシア人労働者の世界に入り込みつつある。また、研究代表者として2回の上記会合を主宰し、その記録を作成した。田中ひかるは、これまで進めてきたアメリカ合衆国におけるロシア系移民アナーキストに関する研究成果を発表した。さらに、ロシア系ユダヤ人アナーキストの自伝的記述やイディッシュ語の新聞類の世界に踏み込み、彼らのトランスナショナルな意識等の掘り起こしをめざしつつある。山本明代は、世界産業労働者組合(IWW)と東欧移民労働者との関係を概括的に捉えた上で、IWWハンガリー支部の活動状況を機関誌『賃金労働者』の分析を通して進めた。さらに、関連の機関誌類の入手に努めつつある。大津留厚は、ミネソタ州過疎地のドイツ系ボヘミア移民とチェコ移民を取り上げ、従来「エスニック」で切り取ってきたことで見えなかった面があるのではないか、と問い、農民運動や労働運動への模索の必要性を意識した研究に着手し始めた。 各自はまた、各分担研究のため国内での史料・文献調査を行い、次年度の現地調査の計画を練り、上記会合でそのことについて打ち合わせた。
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Research Products
(6 results)