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2010 Fiscal Year Annual Research Report

ロシア第一次革命における帝国と国民形成の相克

Research Project

Project/Area Number 21520757
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

土屋 好古  日本大学, 文理学部, 教授 (70202182)

Keywords西洋史 / 近代ロシア史 / ロシア第一次革命 / 日露戦争
Research Abstract

本年度は、昨年度のロシアにおける調査に続いて、フィンランドのヘルシンキ大学スラヴ図書館で史料収集にあたった。この調査・研究で以下の点を明らかにした。
19世紀後半のいわゆるロシア化政策の実態を検討し、それがこの用語が想起させるような民族政策ではなかったこと、またロシア帝国においては、民族よりも帝国・専制への忠誠を基軸として統治がおこなわれており、その結果一般的にはナショナリズムの発現が弱かったことを確認した。このことは、19世紀末から20世紀初頭におけるロシアにおいて国民形成過程が微弱であったことを意味した。19世紀後半ロシア社会のなかに専制政治批判が強まり、とりわけゼムストヴォ勤務の専門家や知識人から立憲的改革を求める動きが起こっていたが、彼らは、日露戦争の不首尾によって一層専制政治に対する批判を強め、その危機を国民代表制度に基づく政治制度の形成によって克服しようとした。戦争の不首尾自体が国民的凝集性の弱さの結果であると考えられたからである。戦争は大量の予備役兵を動員し、それが彼らの多くを送り出した農村部に負担と不満をもたらした。他方、首都の労働運動を契機として始まった第一次革命は、自由主義者に大きな衝撃と同時に期待を抱かせ、専制の譲歩を求めるという点で、民衆運動と自由主義・立憲主義の運動が一時的に同盟したが、民衆運動の志向が自由主義者の思惑を超えて進むとこの同盟は破綻し、労働運動は孤立化し、革命は敗北して、国民代表制による国民形成という構想も十全のものとしては実現する可能性が失われた。最終年度は、さらにこれらを精緻化して総合することが課題になるが、以上の成果は、日露戦争を単に第一次革命の原因としてのみ捉えるのではなく、国民形成という課題が戦争によって浮き彫りにされ、それが革命のなかで社会の側から追及された、という点を明らかにした意義がある。

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Published: 2012-07-19  

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