2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ社会国家におけるキリスト教系民間福祉についての歴史学的検討
Project/Area Number |
21520761
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中野 智世 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (90454470)
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Keywords | 社会福祉 / ドイツ / キリスト教 / 社会国家 / 民間福祉 / 社会史 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に掲げたテーマ1についての分析を進め、福祉国家と民間福祉団体が互いに緊張関係を保ちつつも相互に「補完的」役割を果たしてきた歴史的経緯を明らかにした。また、テーマ3についての検討にも着手し、福祉の人材供給、養成教育におけるキリスト教系民間福祉団体の優位が、非金銭的ないわゆるケア・サービスの分野で重要な役割を果たしてきたことを提示した。具体的な研究成果は下記のとおりである。 1. ドイツ福祉国家と民間福祉団体の関係性を特徴づけている「補完性原則」の確立過程を歴史的に分析し、その成果を口頭で報告した〔社会経済史学会パネル・ディスカッション「『福祉の複合体』の国際比較史」〕。その内容をさらに拡充して論文を執筆し、昨年より参加している共同研究(英・仏・露・伊・スウェーデン・独における福祉の比較研究)の一環としてまとめ、脱稿した〔論文集として来年度に刊行予定。『近代ヨーロッパの探求福祉』(ミネルヴァ書房)〕。そのほか、市民社会論とのかかわりに重点をおいた民間福祉研究史のサーベイ・動向紹介を執筆した〔「キーワードとしての市民社会」『大原社会問題研究所雑誌』〕。 2. 戦後西ドイツにおけるキリスト教系の民間福祉団体について、研究史のサーベイを進める一方、福祉従事者、人材の供給状況、養成教育等についての文献・資料収集を行い、暫定的成果を以下の研究会で口頭発表した〔社会国家ワークショップ:名古屋大学(2010年11月6日)、フィランスロピー研究会:山口県国際総合センター(2011年2月19日)、社会国家ドイツ語セミナー:同志社大学(2011年3月13日)〕。
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Research Products
(6 results)