2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520771
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大橋 泰夫 Shimane University, 法文学部, 教授 (80432615)
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Keywords | 考古学 / 地方官衙 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古代日本における法倉の実態を総合的に解明し、法倉が古代の地方支配において果たした本質的な味を解明する点にある。 平成21年度は法倉の基礎資料を得るために、東日本の法倉とみられる大型の倉庫跡を中心に資料調査を実施した。具体的には、長野県伊那市恒川遺跡(信濃国伊那郡衙)、茨城県水戸市台渡里遺跡(常陸国那賀郡衙)、鹿嶋市神野向遺跡(常陸国鹿島郡衙)、千葉県日秀西遣跡(下総国相馬郡衙)、群馬県天良七堂遺跡(上野国新田郡衙)、伊勢崎市三軒屋遺跡(上野国佐位郡衙)、.栃木県上神主・茂原官衙遺跡(下野国河内郡衙)、福島県関和久遺跡(陸奥国白河郡衙)、宮城県角田郡山遺跡(陸奥国伊具郡衙)、宮城県赤井遺跡(陸奥国牡鹿郡衙)について調査を行った。 これまで東国を中心にみられる瓦葺きの法倉(超大型倉庫)については、屋根全体を瓦で葺く総瓦葺きか、部分的に葺く甍棟であるかが問題になっていた。調査の結果、瓦葺きの法倉の多くが総瓦葺きで威容を誇っていたことが明らかになった。また法倉の年代についし、文献史料では法倉の初見は8世紀中葉であったが、考古学的な検討の結果、8世紀前葉(8世紀第一四半期前半)までには造営されていた可能性が高いことがわかった。 今年度の研究によって、法倉が定型的な郡衙が成立してまもない8世紀前葉までに律令国家の威信を示すために造営され、地方支配の装置として機能していた点が明らかになった。
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Research Products
(2 results)