2012 Fiscal Year Annual Research Report
文字瓦データベース構築と文字瓦の生産からみた地域社会の研究
Project/Area Number |
21520776
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山路 直充 明治大学, 文学部, 講師 (50468823)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 考古学 / 文字瓦 / 生産 / 負担 / データベース / 資料論 |
Research Abstract |
研究の目的 古代の文字瓦の画像つきデータベースを構築し、歴史資料としての文字瓦の特性を明らかにする。その上で、データベースをもとに、瓦に記銘された文字と生産工程の双方の視点から、寺や官衙の造営における、瓦の生産と負担のシステム、瓦の発注主体者と寺・建立主体者の関係を解明し、窯業生産をとおして地域社会の実態に迫る。 ◎文字瓦データベースの作成 各地の研究協力者から送付されてきたデータから、山城国(平安京)138点 山城国(長岡宮・京)136点 美濃国117点、陸奥国(福島県分)138点、阿波国2点、讃岐国5点、筑前国(大宰府関連)553点、豊前国6点 肥後国6点 大隅国1点、計1345点を明治大学古代学研究所のホームページに掲載すべく、データ処理をおこない、各地でデータ収集をおこなった研究協力者に校正と再校正を依頼した。 ◎地域における窯業生産体制の調査 太宰府・信濃国・飛騨国・上野国分寺などの事例を検討するため現地に赴き、各地の事例を検討した。とくに、信濃国と飛騨国においては、瓦工人の移動が具体的に把握でき、その移動に伴い無記銘の瓦が出土することから、工人の移動によって生産体制の伝播も起こることが判明した。このことは、下野国分寺の造瓦において、地方の官営工房に工人が集められ、負担者の名称を記銘する場合との対照事例となる。記銘が生産体制に起因する事例であり、生産と記銘の関わりを考察する貴重な事例となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの公開のため、各地の研究協力者にデータの校正を依頼したが、その校正と再校正に手間がかかり、データの公開がやや遅れ、公開も地域ごとにおこなう予定が異なっている。データ収集が遅れていた四国・北陸地方のデータも、研究協力者により収集できたので、一部は画像処理をおこない、校正・公開を進める。また、下総国の未掲載である龍角寺は、作業を督促する。部分的な遅延はあるものの、データの処理は順調である。 また、生産と負担意に関する文字瓦成立のモデルについても、各地での事例が明らになってきており、全体の計画はおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
データの公開を順次進める。下総国の未掲載である龍角寺については、作業を督促して来年度にデータを公開する。また、校正中のデータについては校正を督促し、公開を促進する。 今年度(平成25年度)は研究の最終年度にあたり、その総括として、文字瓦成立を瓦の生産と負担の視点から捉えたモデルを構築するため、関連の公開シンポジウムを開催し、モデル構築に資したい。シンポジウムの成果と研究総括は、年度末に報告書を作成して公表するとともに、研究拠点とする明治大学古代学研究所のホームページでの公開も検討したい。
|
Research Products
(8 results)