2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520778
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高 正龍 Ritsumeikan University, 文学部, 教授 (40330005)
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Keywords | 考古学 / 韓国史 / 仏教学 / 美術史 |
Research Abstract |
本研究にあたり、東アジア梵字研究会を組織し、A)梵字資料の集成、B)毎月1回の検討会、C)韓国の現地調査等の活動を行っている。Aの集成では、銅鐘・梵字瓦〓を中心として、教典、仏道の柱や天井、須弥壇の荘厳、仏像内に納められた様々な真言や呪符の類、仏画、石塔・浮屠などの石造物、香炉・舎利容器・銅鏡などの金工品、陶磁器等、分野別に集成を実施している。Bの研究会では、(1)2007・08年度におこなった韓国の踏査報告の作成、(2)2009年度の踏査の整理作業、(3)図録や報告書から得られた新出の梵字資料の検討を行っている。(1)の報告書は2010年秋に刊行予定(『歴史考古学研究』最新号)である。Cの韓国踏査は、8月に忠清南道・京畿道にて実施し、礼山の修徳寺(聖宝博物館)・報徳寺、公州の麻谷寺・甲寺、ソウルの白蓮寺・奉元寺、唐津の霊塔寺・影浪寺、国立中央博物館、鎮川鍾博物館、延世大学博物館、梨花女子大学博物館などで銅鐘を中心として梵字資料の調査を行った。 これらの調査作業を通して、韓国の梵字がおおまかに悉曇体→ナーガリー体→ランチャ体→真言集体に変遷し、これらから派生する韓国独自の字体の使用が顕著に見られるという点が明らかになりつつある。したがって、字体により、ある程度の時期の設定が可能であり、これまでの年代観を修正すべき遺物も出てきている。また、日本に招来された明代の金襴(大徳寺龍光院蔵の江月宗玩所用袈裟)と言われたものが、独自の字体から朝鮮時代の可能性も指摘できる。これまで顧みられていなかった梵字という属性を加えた遺物の再検討の必要性が認められる。
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