2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520778
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高 正龍 立命館大学, 文学部, 教授 (40330005)
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Keywords | 考古学 / 韓国史 / 仏教学 / 美術史 |
Research Abstract |
本研究では、三木治子氏、小林義孝氏をはじめとして、歴史考古学同人と東アジア梵字文化研究会を組織し、A)梵字資料の集成、B)毎月1回の検討会、C)韓国の現地調査等の活動を行っている。集成では、これまでの蓄積をもとに、とくに銘文から編年的な研究が可能である梵鐘を主眼において研究を進めている。2011年3月には朝鮮時代梵鐘の研究者である金秀賢氏(大邱広域市文化財広報室)を招請し、検討会をもった。梵鐘を製作した工人グループごとに梵字の様相も異なることが次第に明らかになってきており、より詳細な梵字の変遷を描き出せる見込みである。また、韓国の梵字の理解を深めるために、銅鏡・陶磁器等に記された中国の梵字資料の集成と検討を行った。居庸関等で見られる碑文と同様に、その他の文物においても字体が韓中で根本的に異なることを確認できたのも本年度の特筆すべき成果である。11月には2007・08年度におこなった韓国の踏査報告を刊行することができた(『歴史考古学研究』62号)。引き続き2009・10年度の踏査の報告書のために整理作業を実施し、11年度中には刊行にこぎつけたいと考えている。一方、本年度の韓国踏査は、8月に慶尚北道地域を中心として、月精寺・上院寺・喜方寺・水多寺・南長寺・龍門寺・吾魚寺・銀海寺・宝鏡寺・威徳大学校博物館・祇林寺・青松寺・梵魚寺等で梵鐘・金鼓などの金工品を中心に梵字資料の調査を行った。なお、この踏査には嚴基杓氏(檀国大学校教授)をはじめ数名の美術史学者が同行することになり、梵字研究の重要性を韓国の研究者に伝えることができたのも一つの成果であった。韓国梵字のフォントの作成を行っているが、本年度中に完成していない。次年度に引き続き作成を進める。
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Research Products
(2 results)