2009 Fiscal Year Annual Research Report
生態系サービス・食文化・食育を活用した農村空間の再編に関する地理学的研究
Project/Area Number |
21520785
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
小金澤 孝昭 Miyagi University of Education, 教育学部, 教授 (70153517)
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Keywords | 生態系-サービス / 食育 / 食文化 / 環境保全農業 / 農村空間 / 耕作放棄 / 持続発展教育 / いぐね |
Research Abstract |
生態系サービスを活用した農村空間の再編の事例として本年度は、環境保全型農業とりわけ、環境保全米に注目して研究を進めた。調査地域としては、宮城県内の栗原市、登米市、大崎市、七ヶ宿町を事例として取り上げた。環境保全稲作は、生態系サービスの供給サービス、調整サービス、文化サービス、基盤サービスのすべての面で生態系サービスの維持に効果的な役割を果たしていることが明らかになった。また具体的な取り組みとしては、名取市のイグネを活用した体験学習プログラムを充実させ、農業空間再編のマニュアル作成のための基礎資料を収集した。食育・食文化を活用した取り組みとして、福島県熱塩加納村、山形県金山町を事例に調査を行った。 地域環境を保全する環境保全米農業とりわけ環境保全米づくりを事例にしてその展望について検討した。その結果、第一に、宮城県で安全安心な栽培履歴が情報公開され、減農薬・減化学肥料の農法で水田の多様な生き物を育み、農業生産におけるエネルギー使用を抑制しCO_2の排出量を減少させ、地域環境を保全できる「みやぎの環境保全米」運動が、県内水田面積の約40%まで拡大してきたこと明らかにした。第二に、「みやぎの環境保全米」運動が集落レベルでどのように定着しているかを事例から検討すると、平地農村では地域内で面的に集積して地域環境を保全していること、および中山間地域では、耕作放棄地の進展を抑制する役割を果たすことが明らかになった。第三は、この事例を支えたのは、生産者や農協の努力と同時に国が実施している農地・水・環境保全向上対策が効果的に機能していた。政策を受け止める地域農業の運動があれば、政策と連動することが明らかになった。第四は、「みやぎの環境保全米」運動は、生態系サービスを維持・創造する上では効果的な手法だが、流通上の価格支援の仕組みの確立が課題となった。
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Research Products
(5 results)