2009 Fiscal Year Annual Research Report
"Regional City"の形成を前提とする集約型都市構造の計量的影響評価
Project/Area Number |
21520786
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山田 浩久 Yamagata University, 人文学部, 教授 (00271461)
|
Keywords | Regional City / 集約型都市構造 / 地域再編 / 土地利用 / 地価 |
Research Abstract |
本研究は,米国の都市政策に採用されつつある"Regional City"の概念が,わが国における今後の都市政策においても有効であると考え,集約型都市構造の構築が地域に及ぼす影響を計量的に明らかにするとともに,個々の都市の集約化が複数の都市による"Regional City"の形成に発展していくための可能性を検討して今後の方向性を示すことを目的としている。 平成21年度においては,集約型都市構造への転換を目指す現行の都市政策が地域に与えた影響を把握するための分析を行った。本分析では,まず地価を都市内の土地評価を総合的に示す数的指標として採用し,都心部からの距離に対して逓減する地価勾配曲線の形状の変化から都市集約化の進行状況を把握した。研究対象地域は,関東地方1都6県に含まれる市区町村とした。分析の結果,研究対象地域内で形成されている東京大都市圏(東京圏)全体の集約化傾向は2000年代に入り顕著に観察されるものの,周辺地域の中小都市や大都市圏外の都市においては市街地レベルで郊外化がなお進行していることが明らかになった。この結果は,大都市の集約化政策が隣接市町村の都市機能に作用し,市街地レベルでの土地評価を平準化させたために郊外商業核の評価が相対的に上昇したことを意味している。また,大都市圏に含まれない地方都市においては,都市機能の集約化を促進させるだけの資本投下を期待することができず,中心市街地の衰退が土地評価の絶対的低下を引き起こしている。そこで,地方都市を対象にして集約化状況を市街地レベルでより詳細に分析したところ,地元資本が集積する中心市街地は土地利用改変の自由度が低く旧来の手法で再開発が行われているのに対し,中央資本が主体となる郊外開発は最新の手法に基づく大規模な土地利用改変が行われていることが明らかとなった。これらの結果から,大都市圏全体の機能集約化に組み込まれる圏内市町村よりも,自律的な集約化が難しく,都心部の絶対的衰退が進行する地方都市において"Regional City"の概念に基づく都市群の再編が必要であるとの結論を得ることができた。
|
Research Products
(9 results)