2011 Fiscal Year Annual Research Report
メディア分析による近代日本におけるツーリズムの展開に関する研究
Project/Area Number |
21520789
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 教授 (50206629)
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Keywords | ツーリズム / メディア / 鳥瞰図 / 絵はがき / 旅行案内書 |
Research Abstract |
本研究は,新聞・報告書・旅行案内書・リーフレット・鳥瞰図・写真・広告などの多様なメディアを分析することで,近代日本におけるツーリズムの展開過程を考察することを目的とした。 本年度は,おもに大正・昭和初期の絵はがきと鳥瞰図の収集とそれらの分析を進めた。研究成果としては,次のものを公刊した。(1)「絵はがきから草津温泉の景観を読む」では,大正~昭和初期にかけて多様な絵はがきセットが発行されており,温泉街よりも周囲の景勝地を多く取り上げていること,交通機関の整備とともに次第に周遊観光地が含まれるようになったことなどを示した。(2)「鳥瞰図にみる近代--草津温泉を事例に」では,鳥瞰図には近代化を象徴するイベントがあれば,それを伝える図像が積極的に取り入れられていたこと,表現内容は湯治場から観光地への変化を反映していたことを明らかにし,土産物として発行された鳥瞰図が有用な分析資料となることを示した。 このほか,長野県立歴史館の秋季企画展「観光地の描き方--浮世絵版画から観光パンフレットまで」に協力し,図録への寄稿(「吉田初三郎の鳥瞰図に描かれた信州の温泉」),講演会(「近代の観光と信州の温泉地」)を行った。また,国立歴史民俗博物館の企画展示「風景の記録--写真資料を考える」の展示プロジェクトにかかわった。これらによって研究成果を社会に発信した。 なお,昨年度開設した研究資料を紹介するホームページについては,逐次更新を行ってきた。鳥瞰図をスキャンした画像資料に簡便な解説を加えたものを中心にしており,今後も充実を図っていく。
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