2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業と産業集積地域のイノベーション・知識創造からみた九州経済研究
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21520798
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健兒 Kyushu University, 大学院・経済学研究院, 教授 (50136355)
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Keywords | イノベーション / システム / ルントヴァル / 企業 / 地場産業 / 有田焼 / 空間スケール |
Research Abstract |
本年度における理論的概念的研究では、イノベーション・システムに関する主要な研究者であるフリーマン、ネルソン、ルントヴァル、マレルバ、クックらの考え方を把握することに努めた。その結果、どのような空間的枠組みとどのような産業分類的枠組みで把握するかが、必ずしも鮮明になっていないことが明らかとなった。また、この用語を用いなかったとしても、最も早く、その概念に対応する実証研究を行なったのはルントヴァルであることが明らかとなった。ネルソンは、イノベーションを狭義の技術革新に限定し、進化経済学的な枠組みでナショナルな枠組みで捉えなおした。これに対してクックは国よりも小さな空間スケールでのイノベーション・システムを重視している。しかし、それはルントヴァルが実証研究の素材としたデンマークのような小国ではなく、歴史的文化的に異質な地域から構成される国家を想定しているからに過ぎない。 九州を対象とする実証研究では、肥前陶磁器産地を集中的に調査した。その結果、グローバリゼーションの進展と日本経済の停滞の中で急速に縮小しつつある日本の地場産業一般の傾向と同様の道を肥前の各産地も歩んでいるが、そのなかで独自のイノベーション形成を行っている企業や小産地の存在が明らかとなった。さらに、1990年代初めまで肥前の各小産地は有田焼産地として統合されていたが、次第にかつての相互に独立していた小産地単位に固有名詞をもって分裂あるいは回帰する傾向があることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)