2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520805
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
加茂 浩靖 日本福祉大学, 経済学部, 准教授 (90454412)
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Keywords | 経済地理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、労働者派遣業の労働力調達行動と大都市圏の人口構成・就業行動の変化を踏まえ、労働者派遣業に供給される労働力の特質およびその供給メカニズムを、名古屋大都市圏を対象地域とした実態調査に基づいて明らかにすることである。平成22年度には、供給サイドである派遣労働者に着目し、派遣労働者として就業する要因、とりわけ派遣企業が労働力調達の主たる対象とするフリーターの派遣労働への就業要因を解明するため、次の研究を実施した。 第1に、派遣労働者の地域別の就業状況を把握するために、事業所・企業統計調査報告書、労働者派遣事業統計調査等を用いて統計分析を行った。分析の結果、派遣労働者が関東、中部、近畿地方の大都市圏に集中していることが明らかになった。 第2に、名古屋大都市圏においてフリーター労働者を対象に聞き取り調査を実施した。この調査では、88人から派遣労働を選択した理由、職業経歴、労働者の属性等に関するデータを収集した。この結果、第1に、給与の高さ、求職活動の手軽さ、仕事内容を主な理由として派遣労働の職を選択していること、第2に、回答者全員が派遣労働の職を1年以内に離職した経験があり、短期間に就職と離職を繰り返していること、第3に、名古屋大都市圏以外の出身者のなかに、当地域で就職し、離職後も当地域にとどまって求職活動を継続する者が28%いることなどが判明した。豊富な労働力需要を創出する大都市圏の労働市場特性に加えて、短期間で多くの収入を得ようとする、あるいはより雇用機会の多い地域にとどまって出稼ぎを継続しようとするなどの労働者側の理由が、フリーターを供給源として派遣労働市場が拡大した要因の一つであると考えられる。
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