2010 Fiscal Year Annual Research Report
英国コアシティにおける都市政策の展開と中心地の再生に関する地理学的研究
Project/Area Number |
21520806
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
伊東 理 関西大学, 文学部, 教授 (70116309)
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Keywords | イギリス / コアシティ / 中心地 / 都市再生 / 社会的排除問題 / 都市政策 / コミュニティの再生 |
Research Abstract |
イギリス・イングランド・コアシティの都市政策の課題について、「開発計画」の主要戦略core strategyの分析によって検討した。その結果、いずれの都市においてもシティセンターの再生、社会的排除問題の解決、そのための戦略としてコミュニティの再生および中心地の再生が主要課題となっていることが判明した。シティセンターの再生は、各種の文献等を検討した結果、1990年代から本格化して、すべてのコアシティで建造環境や経済の改善といった面で一定の成果を収めてきていることが判明した。一方、社会的排除問題の解決には、ローカルなレベルでの取り組みが肝要であるが、そのための一つとして多くの都市ではコミュニティの核としての中心地centreの再生が焦点となってきていることが明らかとなった。しかしながら、具体的な中心地の再生に関する都市政策は、都市による相違はかなり大きいことも予想されるところなった。 以上の「開発計画」資料の分析や文献レビューに加え、本年度は2011年3月にイギリス調査を実施し、バーミンガム、リーズ、ノッティンガム市等で小規模中心地の実態とその再生について、各市の都市計画局でのヒアリングや資料収集、中心地での観察調査などを実施した。現在、収集した資料を整理している段階であるが、バーミンガム市では小売商業地区(中心地)の再生問題を中心にすえて、コミュニティの再生を図る方向での都市政策が実施されているのに対して、リーズ市、ノッティンガム市ではコミュニティの再生をベースにした計画のなかで、中心地の再生問題が取り上げられているといった政策・戦略の違いが存在すること、あるいは特定地域の中心地の再生に焦点を絞って政策実行されている都市がある一方で、中心地の再生の必要性を一般的に考えている都市もみられるなど、対象とする中心地の選定についても大きな相違があること、などが明らかになった。
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