2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520807
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉田 道代 Setsunan University, 外国語学部, 講師 (40368395)
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Keywords | 地理学 / 難民 / 庇護申請 / 支援 / 収容所 |
Research Abstract |
今年度は、予備調査として難民研究における地理学分野の文献を収集し、さらに日本の難民支援の組織や活動の現状を知るために、これに関する文献収集および参与観察を行った。 日本の難民支援の組織や活動についての文献資料は、昨年度までにある程度は収集してあったが、新たな文献資料として、難民事業本部によって発行された『ていじゅう』を得た。これにより、1980年代から2000年代にかけての日本の難民支援策および政府から支援事業の委託を受けた難民事業本部による支援活動の詳細が得られた。その他の民間の支援団体については、2009年11月から2010年3月にかけて、東京で開催された支援者育成のための講座、茨城県牛久・東京都品川区の収容所の訪問および品川での収容者への面接、年次報告集会への参加を通じ、庇護申請者の状況および支援団体の具体的な活動についての知見を得られた。 以上の調査で明らかになったことは、次のように要約できる。日本政府は「インドシナ難民」支援事業の終焉後、政府は積極的な難民支援は行わず、難民の認定数も1990年から97年まで年平均約2人、最多で6人(1993年)であるなど低い状態が続き、これを受けてインドシナ難民の受け入れを契機に設立された民間支援団体の多くも国内での活動を縮小あるいは停止していた。しかしながら1990年半ばより庇護申請者数が徐々に増加し、2006年には前年の2倍以上となる954人、2008年には1599人になるなど急増するようになった。なお、このほとんどが申請を却下されている。国内を拠点に難民支援を行う新たな民間団体も設立され、日本政府に対して庇護申請者の権利擁護の活動や、申請者からの相談(生活支援や申請書類の整備を含む)の受付、収容された申請者たちへの面会などを通じた支援活動を行っている。 この予備調査の結果を基に、来年度は、庇護申請者および難民についての政策および支援の実情について、より本格的なフィールド調査を実施する予定である。
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