2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代イギリスのパキスタン系ムスリム女性の就労意識と実践
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21520810
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
工藤 正子 Kyoto Women's University, 現代社会学部, 准教授 (80447458)
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Keywords | イギリス / パキスタン系 / ムスリム女性 / 労働 / マイノリティ / ジェンダー / イスラーム |
Research Abstract |
以下の調査研究を行った。 1、8月9日~9月6日の29日間にわたって、英国中西部のバーミンガム市およびレスター市において、パキスタン系移民女性より聞き取り調査を行うとともに、これらの女性たちが参加する非営利団体による複数の行事に参加して参与観察を行った。 2、上記期間中に、バーミンガム市役所における資料収集および、バーミンガム大学とロンドンのLSE(London School of Economics)大学の図書館において文献調査を行った(文献調査については帰国後も継続)。3、学会や研究会への参加および個人的コンタクトをとおして、日本国内および海外のムスリム移民を研究する研究者と意見および情報交換を行った。 上記により、以下のような成果が得られた。 1、パキスタン系ムスリム第二世代の女性を中心に、世代、階層の点で広範囲の調査協力者のネットワークを構築することができ、22年度の本調査の調査基盤を築くことができた。 2、これらの女性たちの就業にかかわる意識と実践を明らかにし、そこに世代、階層、ジェンダー、エスニシティ、宗教などの複合的な差異がいかに作用するかを明らかにすることが本調査の目的であるが、今年度行った聞き取り調査および参与観察の結果により、当該女性たちの社会経済的地位についての基本的な理解を得ることができた。また、資料文献を通じて、彼女たちをとりまく英国(とくにバーミンガム市)の多文化的状況について政策面など構造的な諸条件を把握し、調査対象女性たちが生きる社会的コンテクストへの理解を深め、彼女たちの「働くこと」をめぐる意識や実践についての調査課題をいっそう焦点化することができた。
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