2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代イギリスのパキスタン系ムスリム女性の就労意識と実践
Project/Area Number |
21520810
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
工藤 正子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (80447458)
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Keywords | イギリス / パキスタン系 / ムスリム女性 / 労働 / マイノリティ / ジェンダー / イスラーム |
Research Abstract |
1. 平成22年8月8日より9月5日の期間に主にバーミンガムを拠点として、パキスタン系移民女性(主に2世)から、聞き取り調査を行うと同時に、移民支援団体での聞き取り調査も行った。(比較的視点のために、同じく移民集住区であるレスター、ロンドンにおいても短期の調査を行った) 2. 上記の現地調査中に、パキスタン系移民の研究者であるAnwar Muhammad(University of Warwick)をふくめ、関連分野の研究者5名に会い、意見交換を行い、その後も、メール等で意見交換を継続した。このほか、バーミンガム大学(University of Birmingham)、ロンドン大学(London School of Economics)の図書館等において、統計調査および関連する文献の収集を行った。 3. 日本国内において、上記の現地調査で得られたデータの整理・分析を進めるとともに、さらなる文献収集も行った。また、学会等で調査成果を報告し、参加者との意見交換をとおして考察を修正・発展させた。 今年度は、昨年構築した調査協力者のネットワークを拡大することによって、年齢層や就労職種などの点でより広範なデータをえることができ、パキスタン系移民の中間層の女性の就労状況をイギリス社会のより広い文脈に位置づけ、把握することが可能となった。同時に、昨年聞き取りをした女性への調査を継続することで、ライフサイクルによる変化などもふくめ、さらに詳細な調査を行うことができた。 以上の調査研究から、パキスタン系を中心とするムスリム移民女性の就労意識と実践について、従来のステレオタイプ的な枠にはおさまらない動態的かつ多面的な変容が生じつつあることが明らかとなり、最終年度に目指す理論の構築に向けて重要な手掛かりをえることができた。
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