2009 Fiscal Year Annual Research Report
体制転換期ネパールにおける政治言語の流通と変容に関する言語人類学的研究
Project/Area Number |
21520811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名和 克郎 The University of Tokyo, 東洋文化研究所, 准教授 (30323637)
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Keywords | 文化人類学 / 言語人類学 / ネパール |
Research Abstract |
不研究の目的は、体制転換期ネパールにおける広義の政治言語の生成、流通、変容の布置の一例を、同時代的に記録し分析することである。研究初年度である平成21年度は、第一に、ネパール語及び英語の著書、雑誌、パンフレットの蒐集と分析を行い、様々な運動体が「新しいネパール」をどのような語彙と論理で構想してきたか、それが時期によってどのように変遷してきたかを明らかにする作業に着手した。そのごく予備的な成果は、2009年5月に開かれたAmerican Ethnological SocietyとCanadian Anthropology SocietyのJoint Conferenceでの口頭発表に反映されている。また、分析枠組となる言語人類学の最新の研究動向についても、言語イデオロギーを巡る問題を中心に検討を進めた。現地調査は2回行った。まず8-9月に、カトマンドゥ盆地在住のビャンス出身者と会って予備的な情報収集を行うと共に、ネパールの最新の政治情勢についての情報を集め、各種運動体関係の著書、パンフレット等を蒐集し、政治に関するセミナー等における言語使用についても知見を得た。その成果の一部は、「ビャンスにおける政党と政治c.1975-2009-予備的概観」と題して、国立民族学博物館共同研究「マオイスト運動の台頭と変動するネパール」研究会において11月1日に発表した。3月の調査では、引き続き最新の各種運動体関係の著書、パンフレット等を蒐集すると共に、先住ジャナジャーティ再規定の動き等に関する情報を集め、併せてカトマンドゥでビャンス出身者計12名と会って話を聞くことで、民族名称を母語のものに変更する動きなど、国政レヴェルの動きがローカルな民族運動体の活動と密接にリンクしている状況を明らかにした。
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Research Products
(2 results)