2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520837
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
舟山 直治 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (90181445)
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Keywords | 異文化交流 / 域間交流 / 河川 / 分水嶺 / 和人地 / 蝦夷地 / 祭祀形態 / 民俗芸能 |
Research Abstract |
本研究は、近世期以降における北海道南西部(渡島半島)の民俗をとりあげて、異民族間交流や地域間交流を経て成立した生活文化の変遷過程を明らかにすることを目的としている。 具体的には、少なくとも17世紀から現在まで日本海沿岸の檜山地方で伝承されている鹿子舞の頭のひとつが、20世紀初頭において渡島半島を東西に分断する背骨状の山々を越えて、内浦湾沿岸に居住するアイヌ民族に受け継がれていた事例を中心に据えながら、民族や地域を超えて再利用されてきた民俗資料群を提示し、日本の北辺において形作られた民俗事例について考察するものである。さらに、19世紀の和人地と蝦夷地を区分した境界線の移動に着目し、異民族間交流や地域間交流を経て成立した生活文化について明らかにすることにある。 本年度は、北海道西南部の神社祭祀について継続して調査を進めるとともに、当該地域の民俗の伝承に大きな影響を与えた道外地域の調査を実施した。道内では、近世期には西蝦夷地であった檜山北部の神社祭祀について調査を実施した。さらに、道外では、菅江真澄が記した18世紀末のアイヌの伊勢参りの実態を明らかにするため、伊勢神宮、名古屋市、岡崎市で関係する寺社を取材した。 また、研究成果を調査地域に還元するため、7月には江差町教育委員会と、9月には知内町教育委員会と協力し町民講座を実施した。江差町では、江差町文化会館小ホールにおいて国立民族学博物館研究戦略センターの笹原亮二教授を講師に招いて実施した研究会「鹿子舞-その芸能と伝承-」を公開した。知内町では、知内町公民館において宮城学院女子大学の菊池勇夫教授を招いて実施した研究会「菅江真澄の旅からみる松前東在の暮らし・松前と箱館の間」を公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北海道南西部の神社祭祀調査を予定どおり実施し、残りの地域は渡島半島北部の噴火湾側だけとなっている。また、これまで懸案としていた調査地への研究成果の公開を、江差町と知内町の博物館および教育委員会と連携して実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道南西部の神社祭祀と民俗芸能の調査を継続して実施し、異民族間交流や地域間交流を経て成立した生活文化を抽出したいと考える。さらに、北海道南西部の博物館および教育委員会と連携して、本研究課題の研究成果の一端を公開する。
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Research Products
(2 results)