2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会における「教育・子育て」の社会哲学的布置
Project/Area Number |
21530002
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
大江 洋 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80308098)
|
Keywords | 子供の権利 / childfood / childfood studies / 子ども論 / 子ども学 |
Research Abstract |
最終年度では、本研究の全体的なまとめおよび、得られた成果の積極的な発信を執筆(論文)作成という形で行うことができた。具体的には、大江洋「子どもの権利論における人間学的考察一子ども論・子ども学から一」(立教法学2011年83号)であった。同論文においては、子どもの権利論にとっての一定の子ども論・子ども学の必要性を説き起こし、本質主義批判の視点から構造的な子ども論がいかにして成立しうるのかという論点を一定提示できたと思われる。 まず、前年度(平成22年度)に執筆された論文である「子どもの権利を問うこと」(愛敬浩二編『講座人権論の再定位2巻人権の主体』2010年法律文化社所収)で残された課題を詳細に再検討した。その検討過程の中で明らかになったものとは、いわゆる「子ども論・子ども学(Childhood Studies)」の考察の必要性であった。本研究課題であるA:「国家一親一子ども」という登場する主体間の関係、B:「中立性」「平等性」「権利」という鍵となる理念間の関係、さらには、C:理論と実践、基礎と応用という考察次元問の関係の複雑さに注視しつつ、その絡み合いを丁寧に考察していく予定であった。その中でも、Aの基礎理論たる「子ども論」について一定程度検討を進めたことは課題を残しつつも、一定の研究成果であったと言えるだろう。 また、本研究の成果は、SC研究会一「構造改革型」統治システムの学際的研究で平成23年12月25日に行われた研究会(上智大学四谷キャンパス)において「『子どもの権利』をめぐる関係性のありよう」として発表された。
|