2011 Fiscal Year Annual Research Report
『分権循環型エネルギー法政策』への転換プロセスに関する研究
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21530020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 竜一 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60239994)
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Keywords | エネルギー政策 / 分権 / 循環 / 環境 |
Research Abstract |
本研究は、新たなエネルギー法政策を(1)循環、(2)環境、(3)分権、(4)転換プロセスの重視という多角的視点から具体化しようとしたものである。第1に、2011年3月11日の東日本大震災及び福島第一原発事故の発生後の日本のエネルギー政策の見直し、被災地の復興という問題は、本研究が二年前に示した上記視点の重要性を明らかにするものであった。これまであまり意識されなかったエネルギー政策と(2)環境との関連性が明らかとなり、今後のエネルギー政策は(2)環境、(1)循環(再生)を無視することはできなくなった。また、今後のエネルギー政策のあり方につき、原発政策の維持か(4)再生エネルギー政策への転換かをめぐり国民的議論となっている。さらに、地域経済に対する従来のエネルギー政策の影響(電源三法交付金)も明白となり、(3)分権的なエネルギー政策への転換は、被災地復興の問題とも関わり、今後の政策課題の一つとなっている。第2に、本研究は、ドイツのトリアー大学等でのヒアリング・資料収集により、ドイツにおける脱原発政策および再生可能エネルギー政策の具体的な法制度を明らかにした。ドイツのエネルギー法政策を日本にそのまま取り入れることはできないものの、ドイツのそれが日本のモデルとなることを明らかにした。もっとも(4)エネルギー政策の転換の是非については、震災直後と現時点では状況が相当異なり、この点については今後も研究を進める必要がある。第3に、本研究は、(2)環境や(3)分権という視点から日本の判例研究や現地調査(石川県、福岡県)を行うことによって、判例や地域政策においてこれらの視点が徐々に重視されつつあることを明らかにした。今後は、以上の研究成果のさらなる公表に努め、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(2011年)、新エネルギー基本計画策定(2012年予定)といった具体的な法政策に反映していきたい。
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Research Products
(6 results)