2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530025
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川端 康之 Yokohama National University, 国際社会学研究科, 教授 (70224839)
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Keywords | 租税条約 / 非居住者 / 課税管轄権 / 租税回避 / 欧州基本権 / 無差別原則 / プリザベーション / セービング |
Research Abstract |
本年度は研究第1年度であるので、もっぱら文献資料他の情報収集と、収集した資料他の分析を中心に研究活動を行った。 まず、近時の動向を調査するため、European Association of Tax Law Professorsの年次大会(於スペイン・サンチアゴデコンポステラ)及びInternational Fiscal Association年次大会(於カナダ・バンクーバー)の両学会研究総会に出席し、各種の研究報告の傍聴、報告者他の外国専門家と意見交換等を行った。本研究との関わりで特に関心が深いのは、欧州の最近の議論の収斂方向と米国の租税政策の独立性である。 欧州連合加盟国の国内租税制度は、いうまでもなく各国が主権に属する事項として独自に政策決定を行っているが、直接税の分野においてさえ、欧州司法裁判所の裁判例を通じて、個別具体的な精度の収斂が進みつつある。 それに比べて、米国はこのような欧州の動向について租税条約上の無差別条項との共通性を強調する理解を示してきたが、近時はそれとはやや異なり、欧州と米国が互いに別個の原理に基づく収斂を目指していると指摘する論者も現れてきている。このような米国の対応は注目に値する。 今年度はこのような点を中心に、それぞれの地域の専門家との対話を通じてそれらの特徴点を把握し、その議論の背景を調査した。 これらの調査で得られた知見(特に、租税条約上の租税回避否認規定の制度的意義)の一部は、民間研究機関の研究会や国税庁ランチ・セミナーなどで発表し、我が国の行政実務家と意見交換を行い、概要は雑誌に掲載し、早期の社会還元を図った。
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Research Products
(7 results)