2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530035
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡辺 康行 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30192818)
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Keywords | 三段階審 / 違憲審査基準 / 比例原則 / 立法者による制度形成 / 平等原則 / 国家賠償制度 / 国籍制度 / 団体と個人 |
Research Abstract |
本研究は、戦後日本憲法学の最大の成果ともいえたアメリカ型の違憲審査基準論が、判例法理とあまりにも乖離したままとなっている状況にかんがみて、判例法理を内在的に再構成することにより憲法上の権利に関する新たな論証作法を構築することにある。 平成22年度も比較的順調に研究を実施することができた。防御権に関する三段階審査、比例原則という思考枠組は、ここ数年で日本においても急速に受容されてきた。しかし、防御権以外における審査手法はいまだ確立していない。権利の実現が立法者による制度構築に依存する権利についての審査手法については、21年度に「立法者による制度構築とその限界」という論稿を公表したが、22年度にも憲法10条と17条に関するコンメンタールの解説において、国籍と国家賠償請求権を素材に考察を続けた(未公刊)。22年度に最も力を注いだのは、平等原則に関する審査手法の構築である。平等原則は固有の保護領域が存在しないため、別異取扱いの存在を確認し、それがあれば正当化できるかという二段階審査がなされる。この領域でも従来から正当化の審査手法について、学説と判例が乖離していたが、近刊の「平等原則のドグマーティク」という論文は、両者を架橋する方向性を探るものである。 それ以外には、団体の活動と構成員の憲法上の権利が衝突する場面の調整手法について考察した論文である「団体の活動と構成員の自由」(下記の『企業の憲法的基礎』所収)を公表した。さらに、こうした審査を行う裁判所に目を向けた論文である「司法権の対象と限界」等もある。
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Research Products
(4 results)