2009 Fiscal Year Annual Research Report
司法制度の設計及び裁判実務における「訴訟基本法」としての憲法の機能に関する研究
Project/Area Number |
21530036
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
片山 智彦 Fukui Prefectural University, 学術教養センター, 准教授 (30294002)
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Keywords | 司法制度 / 憲法 / 行政事件訴訟法 / 裁判を受ける権利 / 法実務 |
Research Abstract |
本研究は、行政事件訴訟法の2004年大改正を素材として、法制と裁判の実務における憲法の機能を解明することを目指すものである。本研究は3年計画の研究であり、その初年度である2009年度は、当初の計画通り、本研究のテーマに関わる各研究領域(立法過程、司法制度及び憲法理論)のそれぞれについて準備的研究を実施した。まず、立法過程に関しては、行政事件訴訟法の改正過程を調査するための準備作業として、立法学及び法制執務の分野の最新の文献を広範囲にわたって検索、収集し、そこに示された研究成果の調査と分析を行った。次に、司法制度に関しては、行政事件訴訟法改正を含む司法制度改革について、司法制度改革審議会における議論と学会の動向を中心に、憲法の視点から検討を加えた。また、憲法理論について、最近注目を集めている国家学に関する文献も参照しつつ、憲法の存在理由と機能に関する研究を進めた。その過程で、編訳者のひとりとして、ドイツ憲法学の第一人者であるクラウス・シュテルンが著したドイツ憲法理論の最高水準を示す浩潮な体系書の憲法総論及び統治の部分を訳出(抄訳)し、同訳書は2009年9月に刊行された。憲法理論に関しては、さらに、本研究のテーマである憲法の機能につき、2008年1月から2009年4月までに言渡された最高裁判所の5つの裁判例を「裁判を受ける権利」の視点から子細に分析した。この事例研究を通じて、裁判実務における憲法の機能に関わる問題点を実証的に抽出することができた。この研究成果は、科研費共同研究「憲法の規範力」の共同研究会において、「最高裁判例と裁判を受ける権利 -憲法の法的機能に関する覚書-」と題して、憲法の規範力の視点も加味して報告した。同報告は、2010年度中に研究論文として公表する予定である。
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Research Products
(2 results)