2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化による国家の構造変化と立憲主義の再構築
Project/Area Number |
21530037
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山元 一 Keio University, 法務研究科, 教授 (10222382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 民雄 東京大学, 社会学研究所, 教授 (90237412)
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Keywords | 立憲主義 / グローバル化 / ヨーロッパ統合 / 共和主義 / ポスト・ナショナル |
Research Abstract |
平成21年度は、研究計画に従って、ヨーロッパ統合の側から見た立憲主義論である「ヨーロッパ立憲主義」論の意義・可能性・限界を解明した。具体的には、近代国民国家像と憲法の基礎概念を分離することが可能かどうかという問題意識に立って、「ヨーロッパ立憲主義」論における、(1)憲法の原理的基礎づけ、(2)憲法の機能的役割の二側面を検討した。 (1)については、憲法の原理的基礎づけについては、憲法制定権力観念を、憲法論は近代国民国家モデルを範型にしなければならないのかという「方法的ナショナリズム」批判を踏まえて再検討した。 (2)憲法の機能的役割については、統合ヨーロッパ次元で憲法が果たすべき役割を、(a)ガヴァナンス論と立憲主義、(b)多文化主義と立憲主義という二つの観点から検討する。(a)については、主権国家の統治能力の低下や<国境の相対化>に伴う統治アクター及び統治手法の多様化に起因するガヴァメットからガヴァナンスへの統治作用の変容が、憲法及び立憲主義の意義と限界に与える影響を考察した。EUの多層的ガヴァナンス研究の成果を基礎に(業績16)、憲法を規範、テキスト、階層、自律的秩序など、どのような像の下に理解するかについて分析を進めた。 本研究計画の成果公表の一環として、とりわけ、2009年6月に「国民国家を超える『憲法』は可能か-1990年代以降のヨーロッパ統合の問いかけ」をテーマとする比較法学会・全体ポジウムにおいて山元と中村は報告を担当した。
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