2012 Fiscal Year Annual Research Report
「安全」目的の人権制約に関する許容条件法理についての比較法的・総合的研究
Project/Area Number |
21530039
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西原 博史 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10218183)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 比例原則 / 法治国家 / 対テロリズム法制 |
Research Abstract |
本研究は、国民生活の「安全」確保という国家目的の意義が重視される現在の社会状況において、憲法上の「比例原則」という理論要素を手がかりに、憲法上の権利に対する制約の許容性に関わる規範的判断の構造化指針の提供を目的とする。この比例原則は、一方において「安全」目的の外見的な圧倒的意義の前に空転の危機に直面しているが、他方でなお、特定の個人的利益を絶対化する過ちを避けながら適切な利益調整を法的次元で実現できる不可欠の理論要素としての意義を高めている。 本年度においてはまず、本研究の中心的課題について体系的視点を提供する2011年度に取りまとめた論文 'Challenges to Proportionality Principle in the Face of "Precaution State" and the Future of Judicial Review' の日本語化を進め、本研究の成果報告に取り込めるよう準備を進めた。これは、2010年の国際憲法学会世界大会報告を踏まえ、そこでの議論の成果や、その後の理論的状況の変化などを織り込み、体系的視点を示すものとして完成されたものである。 それと直接に関係する具体的な問題領域に関し、2012年3月の大韓民国でのシンポジウム報告とその後の討論を踏まえ、リスク社会における人権規制が国家の財政負担を通じて再び他者加害を理由とするものに転換する可能性と、その場合の法的防御枠組みを扱う研究を、論文として完成させ、早稲田社会科学総合研究誌上に発表した。 さらに、前年度までに完成している差別と社会的包摂をめぐる問題設定において「規制の許容条件」を語り得る理論枠組の構築作業につき、総合的な論点整理を行った。こうした作業を踏まえて本年度、各サブ・プロジェクトにおける実質的な研究成果を取りまとめた報告書を作成し、印刷して関係個所に配布した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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